年末年始休業のお知らせ

平素より当事務所をお引き立ていただき,誠にありがとうございます。

誠に勝手ながら,
平成27年12月26日(土曜)より平成28年1月3日(日曜)まで
年末年始休業とさせていただきます。

新年は1月4日(月曜)午前9時からの営業となっておりますので,
ご理解のほど,お願い申し上げます。

遺産分割について

遺産分割については,本当に良く揉めることが多いですね。
揉めるいくつかのケースがありますので,ざっくりと書いてみます。

1 長兄単独相続希望のケース
良くあるパターンは,最近は少なくなっているとはいえ,長男が,自分が跡継ぎだからといって
遺産を全部持って行こうとして,その弟や妹たちが納得できないというもの。
「自分は親父から『自分が死んだら全部お前にやる。』と言われていたんだから,親父の意思を尊重する」
などと述べることもあります。

しかし,それは通らない話です。
親父さんとして,本当にそう思っていたのであれば,なんとしても生前,遺言を作成しておくべきでした。
有効な遺言がなく,口頭で「全部お前にやる」と言った言わないという話が出ても,無理です。

長男であろうと二男であろうと,長女であろうと末の弟妹であろうと,
原則として子ども達全員が均等に遺産を分けることになります。

家督相続制度が廃止された現行民法になって,はや数十年が経っている現在においても
長男優先主義,家督主義がはびこっていることに正直なところびっくりします。

しかし,おそらく,平等に遺産を相続するという法律があることは知っている。
でも,全相続人で合意すれば,自分が全て相続できることも可能である。
(それはたしかにそうです。合意があれば,の話ですが。)。
だから,弟妹たちに納得してもらおう。説得しよう。
そういう流れなんだと思います。

ただ,この考えは,弟妹たちが反対すれば破たんしますので,次善の策を講じなければなりません。

2 無報酬介護・寄与分主張のケース
また,これは本当にかわいそうな話なのですが,
老齢の親を引き取り,何十年も介護をして,自分たち家族は本当に疲弊した。
しかし,遠方に行ってろくに面倒も見ないどころか顔も出さないきょうだいが
「平等」の相続分を主張してきた,というケースもあります。
ネットでいろいろ調べて「寄与分」という概念を知ったので,これを主張したい,というケース。
親の介護をしたということは,原則として寄与分の増額には繋がりません。
平等ということになります。
「じゃあ親の面倒を見ただけ損ではないか」というお気持ちも,ある意味もっともです。
できれば,そういった状況も加味して遺産分割協議が整えばいいのですが・・・

面倒を見てくれた子どもに遺産を多く渡したいというのは,親として一般的な気持ちかもしれません。
そうであれば,やはり先ほど述べたように,なんとしても生前,遺言を作成しておくべきでした。

3 遺産の分割方法で揉めるケース
遺産のすべてが預貯金なら,機械的に分配できますので,
遺産分割で揉める危険はそのほかに比べれば低いのですが,
不動産やら何やらがたくさんある場合は,なかなか揉めることが多いです。
すべての不動産を相続人で均等に共有というのは一番平等なのですが
2世代,3世代後,まるでねずみ算のように相続人が増えてしまった場合,
売るに売れない土地になってしまいます。
誰がどの土地を相続するのか,誰がどの遺産を相続するのか,
それで揉めるパターンも数多くあります。

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遺産分割というのは,揉めた場合には1年以上かかることも決して珍しくありません。
ですから,まず,自分が生きているうちに遺言を書いておくことが何より大切です。

もし,遺言がなく揉めている場合は,おそらくきょうだい間で心情的・感情的対立が激しいのだと思います。
感情をどこまで裁判所に持ち込むかというのは悩ましいところもありますが,
感情なしの人間というのもあり得ないわけですから,
法律ではどうなるか,ということを知っておいた上で,判断すべきことだと思います。

なお,遺産分割で揉めた場合は,遺産分割調停が有用です。
裁判所の調停委員さんはいろいろな肩書の人がいらっしゃいますが,
遺産分割調停では,弁護士や税理士等の専門士業が
調停委員として参加していることも少なくありません。
それでも,調停委員は中立的立場にいなければなりません。
どちらか一方の味方になることはできませんので,
必要があれば,自分の味方としての代理人弁護士に依頼して
弁護士とともに調停に行くべきでしょう。

ただ,私も含め,多くの弁護士は,正直なところ,税金関係や登記関係に疎いです。
餅は餅屋で,税理士や司法書士が精通しているところです。
税理士や司法書士と提携している弁護士に依頼すると,スムーズかもしれません。

先ほども述べましたが,遺産分割調停は年単位で時間がかかることが珍しくありません。
調停は月に1度程度とはいえ,心理的にものすごいエネルギーを費やす方が多いので,
これが長く続いてしまうと,大変疲れてしまいます。
調停や事件との適度な距離感を持つことが大事だと思います。

平成27年9月関東・東北豪雨災害の被災者支援のために

平成27年9月9日から11日にかけて,関東地方から東北地方の広い範囲で豪雨により,
堤防の決壊,越水等が起こり,近年まれに見る水害が発生してしまいました。
お亡くなりになってしまった方々に対しましては心よりお悔やみ申し上げますとともに,
被災された方々には,心よりお見舞い申し上げます。

弁護士は自然災害に対しては無力です。
弁護士バッジがあったからといって,現実に発生しようとしている(あるいは発生している)地震や津波,水害などを止めることはできないからです。
しかし,被災者の方々・被害者の方々は,災害により,いつもどおりの生活ができなくなってしまっています。
その方々の「生活する権利」が侵害されている状況であることは間違いなく,そうであれば,弁護士の役割も決して軽くありません。

たとえば,法律相談を一つ取ってみても,災害時の法律相談には,精神的支援機能,
パニック防止機能,紛争予防機能,情報整理提供機能,立法事実集約機能といった,
いろいろな機能があるとされています。

要するに,困っている人たちのお話を伺って,法的アドバイスを行うことが,まずは相談者の精神的支援になりますし,
パニックの防止や紛争予防にもなります。
さらに,被災者の方々には,情報が全く届かなかったり,逆に,とんでもなく膨大な情報が届いてしまい,
被災者の方々も大変困ってしまうことが多い中,大変な災害で麻痺してしまっている行政に代わり,
その相談者に必要な情報を整理して提供するということができます。
さらに,災害法制は発展途上ですので,既存の法律では対処が難しい問題が新たに浮かび上がることも多々あります。
そういうときは,多数の法律相談で皆さんが同じように悩んでいることを集約して,自治体や国に届けて
条令や法律等を改正してもらうために働きかけるということもできます。

弁護士・弁護士会の役割は決して軽くないのです。

しかし,こういった弁護士の災害復興支援活動は,古くても雲仙普賢岳,阪神淡路大震災以降に始まったもので
日弁連(日本弁護士連合会)も,ようやく災害復興支援が人権擁護活動であるという理解をしてくれたという段階です。

弁護士の活動のノウハウは,阪神淡路大震災を経験した兵庫県弁護士会,中越・中越沖地震を経験した新潟県弁護士会,
そして東日本大震災を経験した岩手弁護士会,仙台弁護士会,福島県弁護士会などがその都度身につけてきたもので,
これらの弁護士会は,自分たちの得た経験を惜しみなく他の弁護士会に伝えてくれています。

私は,群馬弁護士会に所属していますが,日弁連の災害復興支援委員と
関弁連(関東弁護士会連合会)の災害対策PT委員を兼ねています。
この委員会では,先人達の経験やノウハウが毎日のように結集しており,最先端の知識が集まっている場所です。

日弁連災害復興支援委員会が持っている情報を生かして,群馬弁護士会も,
たとえば昨年2月の豪雪被害や本年の前橋・伊勢崎突風被害で被災者支援活動を行ってまいりました。

そして,私も,関東弁護士会連合会の災害対策PTの委員として,先日,茨城県弁護士会に伺い,
日弁連が持っている情報(弁護士会としてどう動くべきか等)をお伝えしてきました。
茨城県は東日本大震災の被災地でもあり,その活動は素晴らしいものでした。
今回もいち早く災害対策本部を設置し,会員一丸となって取り組んでいらっしゃいます。
私が話した内容も,実際は既に被災地の先生方は重々承知のことばかりだったと思いますが
少しでもお役に立つ部分があれば幸甚です。

災害は一瞬で「当たり前の暮らし」を奪っていくものですが,その後の復興は一瞬でできるものではありません。
インフラの復旧は,「生活」「地域」の復旧・復興とは別だからです。

弁護士にしかできない被災者支援も多数あります。
息の長い活動になると思いますが,私としても,できるだけのお手伝いができればと考えています。

どの時点で弁護士に依頼するか?

法律相談では,ご相談の内容について,法的分析と見通しをお伝えするとともに
ご依頼をいただくこともあります。

そこで,どの時点で弁護士に依頼するか,というのがよく話題に上がります。

結論は一律ではなく,具体的なケースによって千差万別だと思います。

たとえば,離婚。

当事者間で離婚の話し合いをして,一番揉める点,たとえば親権や慰謝料について
だいたいの合意ができているとかといった場合は,その交渉の時点で弁護士を入れると,
かえって事が荒立ってしまうこともあり,離婚ができなくなってしまうとか,
そういった危惧があるなら,当事者間での話し合いを継続してもいいと思います。
そして,弁護士は,たとえばその話し合いの中で,で知りたいことがある等という場合に
スポットで法律相談をする,といった使い方も考えられます。

一方,交渉してもどうにもならないことが明らかな場合,交渉の段階から弁護士に依頼するということもよくあります。
当事者間の力関係で,自分がどれだけ頑張っても対等な立場での交渉は難しいという場合などです。
DV(精神的虐待を含む)等を原因とする離婚の場合はそういった傾向が顕著です。

よく「調停は弁護士を入れた方がいいですか?」と聞かれます。

調停の待合室での感覚では,弁護士を付けず,当事者だけでやっている調停の方が多いように思います。
通常の離婚調停であれば,弁護士に依頼する費用も考えて,まずは自分でやってみて,
その中で,たとえば調停委員さんが向こうの言い分を重く扱い,こちらの言い分をあまり聞いてもらえないとか,
相手が弁護士を入れたからこちらも,というようなことで弁護士に依頼することが多いようです。

訴訟になったら,弁護士に依頼するのが一般的でしょう。

不貞などの慰謝料請求は?

ご自身で進めるのであれば,いろいろな思いのある中で,極めて冷静に事を進める必要があります。
しかし,どうしても気持ちが入ってしまい,必要以上に大事になってしまうこともあります。
内容証明郵便を1通送れば自動的に満額回収できるということは滅多にありません
(全くないわけではありませんが)ので
最初から,代理権のある弁護士に依頼するのが良いのではないかと私は思っています。

では,たとえば交通事故はどうでしょう。

これも,最初の段階から弁護士に依頼することもあります。
しかし,一般的には,相手方保険会社から示談の提案が来て,その金額に納得がいかないとか,
あるいはその金額が正しいのか知りたいという段階でのご依頼が圧倒的に多いです。
休業損害,後遺障害認定についてのご不満等もかなりありますね。

ただ,たとえばまだ治療中なのに相手方保険会社が治療を打ち切ってくれと強行に言い出したり,
あるいは,相手方保険会社の担当者からの電話連絡が怖くて対応を弁護士に任せたいという方もいらっしゃいます。
その場合は,相手方保険会社からの示談の提示の前にも受任することがよくあります。

では,債権回収は??

金融機関などは自分で差押えなどを行えますが,一般の方はそうではないことが通常です。
そして,確定判決や公正証書がない限り,いきなり差押えというのはできません。
保全手続もありますが,余計にお金がかかります。
ですから,差押えなどの前提として,裁判などを起こさなければなりません。

日本の民事訴訟の大原則は,弁護士に委任せず,本人でも裁判を起こせますし,
自分自身で訴訟活動を行うことができます。
とはいっても,やはり餅は餅屋ではないですが,弁護士に依頼した方が円滑でしょう。
もっとも,債権の存在や金額について争いがない場合には,訴訟以外の手続を,本人が行うことも十分可能です。

・・・というように,いろいろと状況に応じて変わるのですが,一番最悪なのは
本来弁護士に依頼すべきだったのに,それをしなかったばかりに思わぬ結論になり,
それが決まってしまった後に弁護士に相談する,という事態です。

弁護士は高いという印象がかなり世の中にあり,それは残念ながら間違いない場合が多いと思います。
(私の場合も,多くの弁護士と同様離婚は着手金で30万円+消費税,別途成功報酬はいただきますし。)
ただ,法律相談は無料にしている弁護士も多いようですし(私は無料相談はしていませんが),
有料の場合でも,多くの法律事務所では5000円~10000円+消費税程度で相談を受けることができます。

ですから,自分自身で,まだ自分だけでできるとか,そういった判断をせず,
できるだけ早い段階で,まずは弁護士に一度相談してみてアドバイスを受け,
そのとき,どの時点で弁護士に依頼すべきかということもあわせて相談してみることがいいと思います。

交通事故の賠償請求の進め方

交通事故については,弁護士費用特約(いわゆる「弁特」)が一般化されたので
今までは「弁護士に相談してみようか」「弁護士に依頼しようか」と考えても
費用の関係で躊躇していた方々が,弁護士に依頼するようになったようです。

一般的な交通事故の損害賠償は,お互いの保険会社同士の交渉でまとまることが圧倒的に多く,
それはそれで非常に有益だとは思います。
保険会社は圧倒的な人員がいますし,大量に案件を手がけているため定型的な処理が可能ですし
だからこその「落としどころ」がだいたい見えている中での保険会社同士の交渉になるからです。

ただ,交通事故の損害賠償で保険会社の提示する金額というのは,
裁判で認められるであろう金額より低いのが一般的です。

ざっくりいうと,基準の低い順に

1 自賠責基準
2 保険会社基準
3 裁判基準

と3段階あり,できれば一番高額な裁判基準を被害者側は当然希望するわけですが,
これは裁判になるか,あるいは少なくとも弁護士が介入することを条件にしている保険会社が圧倒的多数です。

(私も以前,代理人弁護士として裁判基準で請求したら「裁判になってもいないのにそんな金額は払えません。」ととても失礼なことを某保険会社担当者から言われたことがありますが,それは本音でしょう。この保険会社担当者には,最高裁判所を頂点とする裁判所以外の法的秩序があるのかもしれません。)

ですから,後遺障害の有無にかかわらず,弁護士に依頼した場合,認められる損害賠償額が大きくなるのが一般的です。

ただ,あえて「全ての事案で」とは言わず繰り返し「一般的」という言葉を使っているのには理由があります。
保険会社側も,双方の主張の違いを飲み込んで,たとえば損害の算定根拠だったりを多めに出すこともあります。
それは,争うことで生じる負担を未然に防ごうという考慮だったりします。

そのあたりも踏まえて,交通事故の損害賠償額が増える見込みがあるのか,じっくり検討する必要がありますので
弁護士に相談・依頼する際には,相手方の主張や保険会社とのこれまでの交渉の経緯等についても
お話をしていただくことになります。

また,相当程度いらっしゃるのが,交通事故で被害を受けて精神的に参ってしまっていて,
そんな中,相手方の保険会社からの電話に負担を感じているので,なんとかならないかという方です。
保険会社の担当者も,立場もありますので,早くまとめたいと思って強引になったりすることもあるでしょう。
例外的なケースでしょうが,担当者の高圧的な「暴言」を録音された被害者の方もいらっしゃり,私もその暴言を聞いて驚愕したこともあります。
そういう場合は,弁護士が受任すれば交渉の窓口が弁護士に一本化されますので,
相手方保険会社の担当者からご自身に連絡が来ることはなくなります。

最後に,裁判について少し。

群馬に着任する裁判官は,交通事故に関する民事訴訟の割合の多さにびっくりされるそうです。
群馬は日本有数の車社会ですので,仕方のないことでしょう。

「裁判」と聞くと,自分とは全く違う世界のことで,とても精神的な負担を感じる方が圧倒的多数だと思います。

そもそも弁護士に相談すること自体,不安と緊張を抱えながらやっとの思いで行っているのに,
その弁護士から「裁判すれば」云々という言葉が出てきたら,さらに負担に思うかもしれません。

ただ,私が必ず説明することで,皆さん驚かれるのですが,「裁判」は,想像するほど精神的な負担はありません。
むしろ「調停」よりだいぶ精神的に楽だと思います。
調停は月に1度のペースで行われ,1回につき2時間,原則としてご本人も裁判所にお越し頂きます。
ただ,裁判は,基本的には弁護士だけが裁判所に行けばいいのです。
事前に,裁判所で行われる手続のために,弁護士の事務所で入念に打合せをすれば,一部例外を除き,当日は行かなくてもOKです。

本人が行かなければならないのは,その裁判の終盤戦にあるかもしれない「尋問」のときの1回です。

また,私はできればいらして頂きたいと思っているのが,和解期日です。
ご自身の紛争ですから,まとまる前にじっくり考えて頂き,
疑念のない状況で和解を成立させるのが望ましいと考えているからです。

尋問は必ず行われるわけではなく,その前に和解で終了することもかなりありますし,
和解も事前に十分弁護士と検討して,納得しているので特に裁判所に行く必要はないと考えて
結局裁判所には一度も行かないまま裁判が和解で終了した,というケースも多数です。

ということで,まず交渉からスタートして,場合によっては裁判,
あるいはその他の方法で解決を図るというのが,交通事故の損害賠償の一般的なルートであり,
当事者の精神的負担をなるべく軽くしつつ,解決に向けて進めていくというのが弁護士の仕事です。

遺言は公正証書で

【遺言書作成のススメ】
亡くなる前に遺言書を,という考えが最近一般的になってきました。
これは非常に良いことだと思います。

遺言は,亡くなる前に,自分の財産について誰に何を渡すのかを考えるものですから,
自分が亡くなった後,自分の遺産をめぐる子どもたちの紛争を予防することができます。

自分の子どもたちが遺産分割調停というけんかをさせたいという親はなかなかいないでしょう。

また,生前に遺言を作っておくこと(作る作業をすること)で,自分自身にとってもいいきっかけになります。

まず,自分の財産には,何が,どこに,いくらあるのかをしっかり把握できるということ。
だいたいの財産はわかるけれども,正確に全て挙げられるかはちょっと不安だ,という方も多いのではないでしょうか。
遺産目録という名の財産リストをじっくりと作ることで,自分の財産を正確に把握することができます。
亡くなった後,相続人が動くよりも正確かつ迅速なので,遺産分割手続が早く終わることも多くなるでしょう。

続いて,何を,誰に相続させるか考えることで,配偶者だったり子どもたちだったり,
一人一人の顔を思い浮かべながら,一番ベストな分割を考えることができることです。

その中で,もしかしたら新婚当初の幸せな時間,初めての子どもが生まれて不安もあったけれど嬉しかった時期,
下の子が生まれてさらに忙しくなったとき,子どもたちが学校に通い始めた時期,
子どもたちが一人暮らしを始めたり,独立したり,結婚したりした時期。
子どもたちに,さらに子どもが生まれた時期・・・さまざまな思い出がよみがえってくることもあるでしょう。

不動産についていえば,念願のマイホームだったり,親から相続した土地であったり,
バブルがはじけてしまって損してしまった土地だったり,いろいろな思いが出てくるかもしれません。

そういった財産は,自分の生きてきた証(文字どおりの「財産」)でもあります。
ですから,それを誰に,どのように分けるかというのは,自らの意思でしっかり決めておくに越したことはありません。

遺言はいつ作ってもかまいません。
結婚したとき,子どもが生まれたとき,といった早い時期から作っておいても損はありません。

【公正証書遺言のススメ】
そして,できれば遺言は公正証書にしておくべきです。
たしかに自筆遺言は費用はかかりませんし,手間暇もかかりません。
しかし,遺言は厳格な要件があり,少しでもそれを満たさないと無効になってしまう恐れがあります。
無効になってしまったら,紛争が予防できるどころか,さらに激化させてしまう可能性もあるわけです。

ですから,財産に応じて費用はかかりますが,無効になる可能性が少ない公正証書遺言を強くおすすめします。

私の知人にも,公正証書を作成しようと公証人役場に行ったけれども,あれを出してほしいこれを出してほしいと言われ
「こりゃ大変だ」と思って尻込みしてしまった人もいらっしゃいます。

しかし,そういった場合は,弁護士に依頼すれば,弁護士が戸籍の取り寄せも行いますし,
財産についても,「こういうのはありますか?」など,アドバイスをすることもできます。
電話や面談などで入念に打ち合わせしながら遺言書の案を作成し,
さらに,公証人と交渉し,遺言書の内容を詰めて,
その人にとって最善の遺言書を作ることができるのではないでしょうか。

さらに,遺言書には,自分が亡くなった後,自分の分身として,遺言書どおりに財産を分配する
「遺言執行者」を遺言書の中であらかじめ指定しておくことが望ましいでしょう。
これも,親族だったり弁護士だったり,あるいは信託銀行だったり,いろいろな手段があります。

【遺留分について】
ところで,遺留分という制度があります。
配偶者だったり子だったりといった相続人の一部の者は,最低限相続できる範囲があるというもので,
推定相続分の2分の1だったり3分の1だったりが遺留分となります。
(たとえば子どもがいる場合の配偶者だったら通常2分の1ですので,その半分である4分の1が遺留分となります)
「自分に相続分がない」「自分の相続分が足りない」と相続権者の一人が知ったら,期間内に
その「遺留分」を求めることができます。
遺言書を作成するときには,遺留分も見越した上で作成するか,
特に遺留分については考えず,請求された場合に相続人たちに対応してもらうことにするか,
いろいろな考え方があると思いますので,その点も事案に応じて検討されるべきだと思います。

何はともあれ,遺言書の作成は,将来の紛争を未然に防ぐという,残された家族に対する親の優しさでもあります。
自分の意思を最後の最後に表明できるものでもありますので,是非とも作成を検討されてみてはいかがでしょうか。

不貞行為の慰謝料と時効

今回は,いわゆる「不倫」(不貞行為)と慰謝料について,ちょっと誤解がありそうなところをスポットで書きます。
よく「慰謝料請求は3年で時効」っていうけど,それは本当なの?ということです。

言うまでもありませんが,不貞行為は,法律上「不法行為」です。
不法行為ですので,損害賠償請求(いわゆる慰謝料請求)の対象となります。

そして,不法行為による損害賠償の請求権は,「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。」とされています(民法724条)。

ですから,被害者が「配偶者が○○って奴と不倫している!」ということを知ってから3年の間に慰謝料請求をしないと,慰謝料請求権は消滅時効にかかってしまうように思えます。

「3年以上前,夫が××に住んでた○○と不倫していることを知ったけど,そのときは慰謝料請求せず,再構築を目指した。でも,やっぱり許せない。離婚とともに慰謝料請求したい。でも,時効なの?」
あるいは逆に「3年以上前,妻に○○との不倫がばれたけど,その後何も言ってこなかったらもう大丈夫。時効だ。」

・・・なんて思っていませんか?

ですが,民法159条という条文があります。
夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。」というものです。

ですから,婚姻を続けている限り,この配偶者に対する不貞の慰謝料は原則として消滅時効にかかりません。
離婚調停をしているなら,あるいは離婚の協議をしているなら,しっかりと請求することができます。

もっとも,不貞相手に対する損害賠償請求権は原則どおり3年で消滅時効にかかりますので
夫(妻)には請求できるけど,不貞相手には請求できない,という自体が考えられます。

また,3年という起算点も問題となります。
「不法行為」をどうとらえるかという点とも直結するのですが,慰謝料請求の原因となる不法行為について,「不貞行為のみならずこれにより婚姻関係が破綻し離婚に至ったことをも含むものである」として,不貞行為から3年は優に過ぎているけれども,離婚からは3年経っていないという事案で,消滅時効の起算点を「遅くとも離婚の届出がなされた」日として,不貞相手に対する慰謝料請求を認めた裁判例もあります(東京地判平成17年1月31日判例秘書判例番号L06030384)。

ですから,「3年経ったからアウト(セーフ)」といったような判断は,必ずしも正確ではありません。

では,ちょっと横道にそれますが,「損害及び加害者を知った時」とはいつでしょうか?
「LINEのID(あるいはメールアドレス)はわかるけど,住所も本名もわからない」という状態から3年間のカウントダウンが進むのでしょうか。
最高裁判例は(だいぶ古いですが)現実の氏名及び住所を知ったとき,としています。

ですから,逆に,離婚した元配偶者に対する不貞の慰謝料請求は消滅時効にかかってしまったが,
不貞相手の住所氏名の情報は最近知ったので,まだ請求できる,という自体も考えられます。

なお,「20年」という期間(これを「除斥期間」といいます。)は,伸ばせません。
ですから,21年前の不倫の慰謝料,というのは請求できません。

また,だいぶ前の不貞の慰謝料請求権というのは,法律上請求できるかというのはともかくとして,慰謝料が低く認定されるきらいがあるような気がします。
先ほど紹介した東京地裁の判決も,「被告に対する慰謝料の支払を求める本件調停の申立ては,離婚後2年半も経過してからなされていること」という時的要素を,慰謝料を減額する方向に導く事実として指摘しています。

ただ,離婚事件の多くは,任意の交渉や調停において,慰謝料だけではなく,財産分与などもあわせて一括で話し合われることが多いので,少なくともその中で,慰謝料請求権が消えてしまったと安易に考えるのではなく,重要な要素として検討されるべき事項だと思います。

・・・といろいろ雑駁に書き連ねてしまいましたが,私が言いたいことは

・「慰謝料の時効は3年」と一般に言われていて,その言葉が一人歩きしすぎている感じがするということ
・「いつから3年」なのか,事案の概要に応じてじっくり検討しなければならないこと
・そもそも婚姻期間中は消滅時効は完成しないので,3年を過ぎても請求可能であること
・できれば財産分与など全体的な視野で解決した方がいい場合があること

ということです。

不貞の慰謝料請求は,多くの弁護士がよく扱う案件ですし,その案件の多くは,そう昔ではない不貞を問題としているものです。
しかし,熟年離婚だったりした場合には,問題になることはあります(弁護士でも民法159条を知らない方もいて,私が準備書面で主張したこともあります。)。
そういった場合には,しっかりとした検討が必須です。

離婚にともなう法律問題

今日は【離婚】についての基本的な法律問題を,広くざっと説明します。

離婚の法律相談は,私だけではなく,大多数の弁護士も多数受けていると思いますが,
そこで必ず問題になることについて少し書いてみます。
私もご多分に漏れず,離婚関係(認知や面会交流なども)は一番取扱いが多い分野の一つです。

【離婚は簡単にできる?】
日本は外国に比べ,離婚しやすい国といわれています。
考えてみたら,双方の合意があればですが,緑色の紙1枚を市役所等に提出すれば
それで離婚が成立するわけですから。
一方,たとえばフランスなどは,何らかの形で裁判所が関わります。

では,それはいいことか?というと,そうでもないことも多いです。
離婚を急ぐ一心で,取り決めておくべきことが決められていない,
あるいは不十分な内容だということはよくありますし,
そのために離婚後(主に子を持つ母親が)困ってしまう,ということも見受けられます。

ですから,離婚の条件を検討するとき,できれば弁護士に内容をチェックしてもらうべきだと思います。
どんなことを検討しなければならないか?ということを,つらつらと書いてみます。

【離婚のときにあわせて何を決めるか?】

<親権>
まず,未成年のお子様がいらっしゃるときは,父母のどちらが親権を持つか必ず決めなければなりません。
ここでもめることが多いです。
もめることが多いのですが,「意地」ではなく「子供のためにどちらがいいか」という観点から検討すべき問題です。
親権は「権」という文字が入っていますが,「権利」というより「義務」だと思った方が良いと思います。
世間体や体面,メンツや意地ではなく,子供の立場から考えなければなりません。

<養育費>
未成年のお子様がいらっしゃる場合,今後子供を自分のところで育てる親は,
もう一方の親から月々の養育費を受け取ることができます。
この金額は,裁判所のウェブサイトにも載っているように,だいたいのところは決まっていますし
iPhoneで養育費を算定できるアプリもあります。
が,この算定表は万能ではありません。
双方が子供をそれぞれ引き取るといった場合には,算定表ではなく基準式に基づく計算が必要になります。
また,いつまで発生するのか,ということも問題になります。18歳なのか,20歳なのか,22歳なのか。
「養育費はいらない。早く離婚したい。」という声はよく聞きますが,
お子様のためです。じっくり検討すべき問題だと思います。

<面会交流>
夫婦は離婚したら他人ですが,親子の関係は親同士が離婚しても変わりません。
原則として,実際に手元で育てている親は,他方の親に対し,子供に会わせる(これを「面会交流」といいます。一昔前は「面接交渉」と言っていましたが,いずれにしても略語は「面交」です)義務があります。
しかし,よく誤解されるのですが,面会交流は「親の権利」というだけではありません。
むしろ,「子どもの権利」という側面が強いものです。
実際に毎日子供に会っていない親の気持ちにしてみたら,面会交流は格別です(一般論ですが)。
それは,子供としても同じです(一般論ですが)。
ですから,「養育費もいらない!だから子供にも会わせない!」というのは,
気持ちとしてはよくわかりますが,それが通じない場合も多いということを知っておいていただければと思います。
なお,面会交流と養育費はセットではありませんし,対価でもありません。
「養育費はいらないから面会交流させない」というのは理論としては難しいところです。

<年金分割>
離婚時の年金分割という制度があります。
(多くは)夫名義で入っていた厚生年金や共済年金(将来もらえる年金)を夫婦で分割する制度です。
だいぶ周知されてきて,よく調べてきている相談者の方は,年金分割もしたいとおっしゃる方が多くなっています。
年金分割は離婚後も2年間は請求できますが,機械的に定まるものなので,できれば離婚と同時にやってしまうべきです。
さんざん揉めて離婚して,あぁ年金分割もあったっけ,となっても,年金分割手続をする余力が残っていないし
後でやればいいやと思っていたらあっという間に2年経ってしまった,ということも考えられます。

<慰謝料>
親権ともに揉める最大の要因のひとつが「慰謝料」です。
「慰謝料」という言葉が一人歩きしていて,離婚の時は必ずもらえるという誤解も一部であるようです。
が,不貞や暴力(DV)など,「不法行為」である場合にのみ認められるものなので,
何でもかんでも「慰謝料1000万円!」というのは得策ではないでしょう。

<財産分与>
これも誤解があるのですが,何でもかんでも夫(多くの場合)の財産の半分を受け取る権利がある,
と言うわけではありません。
結婚したときの財産から離婚(あるいは別居)するときまでに増えた財産・減った財産の「差額」について,夫婦で分ける,というのが財産分与です。
しかも,その増えた分が「固有財産」,たとえば親の遺産が入ってきた場合などは,それは財産分与の対象にはなりません。
ですから,もともと3000万円の貯金を持って結婚して,それが給与などで4000万円に増えたところで財産分与,という場合,
全額の4000万円を分割するのではなく,増えた分の差額1000万円を分割することになります。
また,「減った場合」の処理は深刻です。
せっかく家を建てたが,土地建物の評価額より住宅ローンの残高の方が多い,というのは本当によくあることです。
そういう場合の処理は,常に悩ましいものがあります。

【まとめ】
以上のように,「離婚」といっても,これだけのことを(できれば事前に)まとめておく必要がありますので,
できれば事前に弁護士に相談した方がいいと思いますし,お金のやりとりがあるのならば公正証書にするか,
あるいは調停を申し立てることを検討すべきと思われます。

動画違法アップロードと損害賠償

テレビ番組やアニメ,あるいはアダルト動画などをyoutubeFC2動画などに違法アップロードしたところ,著作権者や,その依頼を受けたとする弁護士(法律事務所)から損害賠償を求める内容証明郵便が来た。

中身を見たら,閲覧回数×販売単価という算定基準に基づく数百万円の損害賠償請求だった。

数百万円の損害賠償金を○日以内に支払うよう求められ,法律事務所の口座が記載されている。

支払いができない場合には,著作権法違反として告訴あるいは裁判などの法的手続に移行する,などと書かれている。

さて,違法アップロードは,気に入った動画を皆にも知ってもらいたいというような軽い気持ちで行われることが多く,
それゆえ,とんでもなく高額の損害賠償請求が来ると,パニックになりがちです。

「アップロードしただけでこんな高額な請求が?」
「ほかにもたくさんの人がやってるのに,なんで自分が?」
「本当の弁護士なのか?新手の詐欺なのではないか?」

いろいろなことが頭に思い浮かぶかもしれません。

一昔前は,youtubeやらニコニコ動画やら,あるいは海外の動画投稿サイトで
番組やPVをまるまる視聴できたり(もちろん違法),
その(違法)投稿で人気に火がつき,一大ムーブメントが巻き起こったりしたとも言われていますが,
だからといって違法な投稿が適法な投稿になるわけではありません。

「違法に動画を投稿したことで,人気が出て,かえって儲かっただろう」というようなことは通じないのです。
(もしその主張をするなら,違法アップロードをしなかった場合の想定利益と,当該違法アップロードにより増えた利益の主張立証が必要となりますが,非常に困難でしょう。また,実益もありません。)

違法アップロードによって著作権侵害をしてしまったことが間違いないのであれば,
誠意ある対応をすべきだと考えます。

まず行わなければならないことは,
・内容証明郵便の送付元が本当に法律事務所なのか。
・その弁護士の依頼者は本当に著作権者なのか。
という点の確認です(当然ですが)。

では,この2点がクリアされた場合,相手方の請求額をまるまる支払わなければならないのか,
というと,必ずしもそうでない場合が多い印象です。

こういう違法アップロードの場合,閲覧回数×販売単価で機械的に算出された金額が
請求の根拠とされていることが多いようです。

では,妥当な損害額というのはいくらなのでしょうか。
この点は,経済産業省のサイトが非常にわかりやすくまとめられているので,引用します。

まず,違法アップロードして,利益を得ていた場合はどうでしょうか。

著作権法114条2項により,
「著作権者等は、著作権侵害を行った者に対し、その著作権等侵害行為により侵害者が利益を受けている場合は、その利益の額が損害の額と推定されます。これを根拠に損害額を算定し主張することができます。ただ、この規定は推定規定にすぎないため、権利者が受けた損害の額がもっと少ないことを侵害者が立証することで、推定が覆される可能性があります。」

つまり,違法アップロードをした人が得た利益が,そのまま損害額として推定されます。
では,自分は違法アップロードしたけど無料投稿だし,1円も利益を得ていない!という場合には損害はゼロだから賠償金を支払わなくてもいいのか?

・・・というと,直ちにそうなるわけではありません。

著作権法114条1項により,
「著作権侵害により、著作権者が自己の受けた損害の賠償を請求する場合において、著作権侵害者が侵害の行為によって作成された物を譲渡したときは、その譲渡した物の数量に、著作権者がその侵害がなければ販売することができた物の単位数量あたりの利益の額を乗じて得た額を、著作権者の販売等を行う能力に応じた額を超えない限度において、著作権者等が受けた損害の額とすることができます。ただし、譲渡数量の全部または一部を著作権者等が販売することができない事情があるときは、その事情に相当する数量に応じた額を控除するとされています。」

「損害額」=「侵害者の譲渡等数量」×「権利者の単位あたりの利益」(ここまでの計算結果が著作権者の販売等を行う能力に応じた額を超えない限度)−「権利者が販売等を行えない事情に応じた金額」

というような推定規定があります。

「著作権者の販売等を行う能力に応じた額を超えない限度」というのは,
著作権者の規模や販売能力を超える利益が発生していたとしても,その部分は「損害」にはあたらないというものです。

再生回数×販売単価という著作権者側の請求は,これをベースにしているように感じます。
しかし,「販売単価」=「販売利益」ではありませんし,販売能力の縛りもあります。

違法アップロードに関する損害賠償については,いろいろな観点からの検討が必要になりますので,
こういった内容証明郵便が届いて不安だ,という場合には,弁護士に相談してみてはいかがでしょう。

もし家族や恋人が逮捕されたら?

あなたの家族や恋人が逮捕されたという連絡が警察から来たら。。。

まず,頭の中が真っ白になると思います。

何をしていいのかわからなくなるでしょう。

信じられない。誤認逮捕なのではないか。

でも,本人は認めていると伝えられた。

それは本当なのか。

弁護士に依頼した方がいいのではないか。

そして,インターネットで調べてみたら,刑事弁護に力を入れていると称する弁護士(法律事務所)のホームページに繋がります。

数十万から百万円単位の預り金とか,接見費用,日当,交通費,事務手数料,いろいろ書かれていて,
でも,実績も多数あるようだし,刑事事件を専門に取り扱っているようだし,
そもそも高いか安いかなんて,ほかと比べようがないからわからないし,お願いしてみよう。

・・・ちょっと待った方がいいです。いえ,是非とも立ち止まってください。

弁護士の報酬は完全に自由化されているとはいえ,だいたいの相場というのはあります。

刑事事件でいうと,裁判員対象事件でなければ,だいたい着手金で30万~50万。
起訴された場合には追加の着手金が発生する場合もあります。

弁護の結果,起訴猶予になったり,罰金になったり,執行猶予がついたり,もちろん無罪になったり,
要は刑務所に行かなくても済む結果になった場合や,
検察官の求刑から結構削った判決を得た場合などには,だいたい着手金と同額程度の成功報酬。
家族等からの要請による初回の接見は数万円。

これが大多数の弁護士の報酬基準ではないかと思われます。
もちろん,それに比べて高額の弁護士費用を請求する法律事務所があっても,それは自由ですし,
それに見合った動きをしてくれる可能性だってあります。
ただ,そこまで高額ではない弁護士もいる,というより,そこまで高額ではない弁護士の方が圧倒的多数だ,ということは
知っておいていただきたいと思います。

刑事事件は弁護士にノウハウがあるかないかで全く結果が異なることがあり,
かつ,めまぐるしく状況が変わるため,スピードが大事な事件です。

逮捕された → 勾留されるか否か。勾留は阻止できるか。
勾留された → 勾留に対する準抗告や勾留取消を求めるか。勾留されたとして,満期までにどれだけ動くか
勾留中   → 被疑者段階の場合,検察官と交渉して,不起訴処分を求めたり,
略式(満期日等に罰金を支払って釈放)を求めたり。
起訴(公判請求)後 → 釈放を求めるか。保釈請求をするか。保釈保証金をどうするか。
早期釈放のために動くべきこと。裁判を見越した主張立証準備をどうするか。
(全期間にわたって) → 示談をどうするか。法理論上の問題点は何か。

この中でも,勾留されてから10日間(最大20日間)の勾留期間が最も大切な時間ですし,
さらに言うなら,検察庁内部では,満期日に処分を決定するわけではなく
その2日ほど前に決裁が行われて,そこで処分が決定されることが多いので
決裁の前になんとかしなければなりません。
(どうしても決裁までに間に合わないときは,検察官に事情を説明することが必須です。)

刑事弁護は主に,被害者の方との連絡や交渉,検察官との連絡や交渉が大きな「核」になります。
被害者の方との連絡や交渉は,被害者の方の人権に配慮しながら行わなければなりません。
検察官との交渉も,やみくもに「釈放してください」「不起訴にしてください」といっても効果はなく,
むしろ「あの弁護士は何だ。何もわかってないのか。」と信用を失うだけです。

自白事件であるなら,被害者がいる犯罪の場合は被害回復(弁償),示談が圧倒的に大事ですし,
もう再びこういうことは起こさない,起こさせないという本人や家族等の意思も含めた環境作りが大切です。
(アパートで一人暮らしをしていた被疑者に,アパートを引き払わせて親元に住まわせ,親が監督する等)
また,仮に起訴された場合はこういった点が問題になり,それは争わざるをえないと検察官に伝えたり,
そういったトータルでの環境作りを家族等と協力して,限られた時間の中で行わなければなりません。

私のところにも,知り合いを通して私のことを知り,「家族(恋人)が逮捕されてしまった。」と
混乱しながら連絡をくださる方もいらっしゃいます。
刑事事件は時間との勝負ですので,そういった場合にはなるべく当日,時間外でも
お越しいただいて相談を受けることにしていますし,相談後,できる限り当日中に
勾留されている警察署に行って接見するようにしています(接見終了後日付が変わっていたということもあります)。
そういった意味で,刑事事件については,ある程度刑事弁護経験があり,小回りがきく
地元の弁護士に依頼するのがいいように思います。
もちろん,熱意と実力を併せ持ち,刑事弁護に非常に力を入れている都内周辺の弁護士も実際にいらっしゃいますので,そういう方に依頼するのも良いでしょう。
(先日,弁護人選任届を検察庁に提出していながら,着手金が未納だということで全く動かなかったという弁護士の噂を聞きましたが,そういうのは論外です。着手金の支払いが難しいなら,国選弁護を検討すべきです。刑事事件で貴重な時間を空費するのは愚の骨頂です。)

私の場合,刑事事件の弁護費用は着手金(最初にいただくお金)30万円(税別),成功報酬(成功した場合にいただくお金)30万円(税別)を基準にしていますが,余罪が多数あったり,裁判員裁判対象事件だったりした場合には,それを見越して事前に費用のお見積もりをしますので,費用面については安心していただけると思います。