遺言は公正証書で

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【遺言書作成のススメ】
亡くなる前に遺言書を,という考えが最近一般的になってきました。
これは非常に良いことだと思います。

遺言は,亡くなる前に,自分の財産について誰に何を渡すのかを考えるものですから,
自分が亡くなった後,自分の遺産をめぐる子どもたちの紛争を予防することができます。

自分の子どもたちが遺産分割調停というけんかをさせたいという親はなかなかいないでしょう。

また,生前に遺言を作っておくこと(作る作業をすること)で,自分自身にとってもいいきっかけになります。

まず,自分の財産には,何が,どこに,いくらあるのかをしっかり把握できるということ。
だいたいの財産はわかるけれども,正確に全て挙げられるかはちょっと不安だ,という方も多いのではないでしょうか。
遺産目録という名の財産リストをじっくりと作ることで,自分の財産を正確に把握することができます。
亡くなった後,相続人が動くよりも正確かつ迅速なので,遺産分割手続が早く終わることも多くなるでしょう。

続いて,何を,誰に相続させるか考えることで,配偶者だったり子どもたちだったり,
一人一人の顔を思い浮かべながら,一番ベストな分割を考えることができることです。

その中で,もしかしたら新婚当初の幸せな時間,初めての子どもが生まれて不安もあったけれど嬉しかった時期,
下の子が生まれてさらに忙しくなったとき,子どもたちが学校に通い始めた時期,
子どもたちが一人暮らしを始めたり,独立したり,結婚したりした時期。
子どもたちに,さらに子どもが生まれた時期・・・さまざまな思い出がよみがえってくることもあるでしょう。

不動産についていえば,念願のマイホームだったり,親から相続した土地であったり,
バブルがはじけてしまって損してしまった土地だったり,いろいろな思いが出てくるかもしれません。

そういった財産は,自分の生きてきた証(文字どおりの「財産」)でもあります。
ですから,それを誰に,どのように分けるかというのは,自らの意思でしっかり決めておくに越したことはありません。

遺言はいつ作ってもかまいません。
結婚したとき,子どもが生まれたとき,といった早い時期から作っておいても損はありません。

【公正証書遺言のススメ】
そして,できれば遺言は公正証書にしておくべきです。
たしかに自筆遺言は費用はかかりませんし,手間暇もかかりません。
しかし,遺言は厳格な要件があり,少しでもそれを満たさないと無効になってしまう恐れがあります。
無効になってしまったら,紛争が予防できるどころか,さらに激化させてしまう可能性もあるわけです。

ですから,財産に応じて費用はかかりますが,無効になる可能性が少ない公正証書遺言を強くおすすめします。

私の知人にも,公正証書を作成しようと公証人役場に行ったけれども,あれを出してほしいこれを出してほしいと言われ
「こりゃ大変だ」と思って尻込みしてしまった人もいらっしゃいます。

しかし,そういった場合は,弁護士に依頼すれば,弁護士が戸籍の取り寄せも行いますし,
財産についても,「こういうのはありますか?」など,アドバイスをすることもできます。
電話や面談などで入念に打ち合わせしながら遺言書の案を作成し,
さらに,公証人と交渉し,遺言書の内容を詰めて,
その人にとって最善の遺言書を作ることができるのではないでしょうか。

さらに,遺言書には,自分が亡くなった後,自分の分身として,遺言書どおりに財産を分配する
「遺言執行者」を遺言書の中であらかじめ指定しておくことが望ましいでしょう。
これも,親族だったり弁護士だったり,あるいは信託銀行だったり,いろいろな手段があります。

【遺留分について】
ところで,遺留分という制度があります。
配偶者だったり子だったりといった相続人の一部の者は,最低限相続できる範囲があるというもので,
推定相続分の2分の1だったり3分の1だったりが遺留分となります。
(たとえば子どもがいる場合の配偶者だったら通常2分の1ですので,その半分である4分の1が遺留分となります)
「自分に相続分がない」「自分の相続分が足りない」と相続権者の一人が知ったら,期間内に
その「遺留分」を求めることができます。
遺言書を作成するときには,遺留分も見越した上で作成するか,
特に遺留分については考えず,請求された場合に相続人たちに対応してもらうことにするか,
いろいろな考え方があると思いますので,その点も事案に応じて検討されるべきだと思います。

何はともあれ,遺言書の作成は,将来の紛争を未然に防ぐという,残された家族に対する親の優しさでもあります。
自分の意思を最後の最後に表明できるものでもありますので,是非とも作成を検討されてみてはいかがでしょうか。

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