遺産相続ではまず「情報」の共有を

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遺産の相続問題というのは,当事務所で非常に多く取り扱っている分野の一つです。

「相続」といっても,

・相続人は誰で,法定相続分はどのような割合なのか。

・被相続人(亡くなった方)に遺言はあるのか

・遺産にはどんなものがあるか(不動産,預貯金等の債権だけではなく,債務も)

・どのように分けるか

といったように,様々な視点から検討する必要があります。

特に大きく揉めることが多いのが「遺産にはどのようなものがあるか」「どのように分けるか」です。

今回は,「遺産にはどのようなものがあるか」という点に関連して,紛争の激化や長期化を防ぐために,どのようなことが有効か,ちょっと書いてみます。

☆遺産を把握している方はどんどん開示しましょう☆

亡くなった方の遺産を,同居している方などがしっかり把握していて,どこの銀行にいくら,どこの証券会社にいくら,といったリストを作れる場合が圧倒的に多いのですが,それを他の相続人にも同様に開示してくれるかどうかは,残念ながら,また別の問題です。

どのような遺産があるのか全く知らされないまま「いくら渡すから判子押せ」「凍結された口座から金を引き出すために判子押せ」などと言われる方も非常に多いです。

「生前,自分は親の面倒を見られなかったけど,自分の代わりに見てくれたから」とか,「これから家と墓を守っていくんだから」とか,そういった理由で,ご自身で納得して同意することは全く問題ありません。

ただ,正しい情報を得られないまま,判子を押せというのは受け入れられない。そういった相談は非常に多いです。

どのように分割するかの前に,まずは正しい情報の開示を求め,客観的な情報をもとに協議することが必要です。

遺産を管理している側の相続人も,早期解決を望むのであれば,他の相続人から情報開示を求められたら「自分で調べろ」と突き放すのではなく,客観的で正しい情報を提供すべきでしょう。

それでもどうしても開示されないというのであれば,相続人であれば,ある程度の遺産調査は可能です。私もよく,そのような方の代理人として,絨毯爆撃のように,亡くなった方の住所地の近隣金融機関全て(と場合によってはインターネット専業の金融機関)に問合せをしています。そこから思いもよらぬ遺産が見つかることもあります。

仮に預貯金や証券口座等を隠していたとしても,引き出すにあたっては相続人全員の同意が必要です。隠しておくメリットはありません。

☆生前の預貯金引出は何に使ったか記録しておきましょう☆

また,「父が死亡する直前に,相続人の一人に,ものすごい勢いで預金を引き出された」という相談もよくあります。葬儀費用として現金にしておいてくれ,と本人に言われて引き出したという方もいらっしゃいますし,預金の凍結前に,葬儀などにかかる費用を事前に引き出しておいた,という方もいらっしゃいます。

葬儀費用を遺産から出してよいのか,喪主が負担すべきなのかという争点はありますが,少なくとも,引き出した相続人の方は,公明正大な手続を行っていることを他の相続人に示すため,しっかり帳簿をつけておく必要があるでしょう。

☆まとめ☆

今述べてきたような内容は,「情報」を共有することの重要性,というようにくくれるとおもいます。「財産を分ける」ためには,その財産がどのようなものなのか,相続人全員で共有しておかないと,話が進まないことが多いです。特に,相続人間の信頼関係がそう強くない場合,必要な情報を提供してくれない方に対して,他の相続人は不信感を強めてしまいます。

そうすると,後々気が変わって情報提供しても「まだあるんだろう。」「何で今まで出さなかったんだ。隠匿が済んだからだろう。」などと,疑心暗鬼は解消できず,争いが解決しないこともあります。

情報はできるだけ早く,正確なものを共有するということが,早期解決の大前提になるのではないかと考えています。

「きょうだいでそういう話はしづらい」「色々と難しいから自分ではできない」「もうとにかく疲れちゃった」。そういった方は,弁護士に依頼すれば,交渉等を弁護士に任せられますし,直接の連絡からも解放され,それだけでも心理的にだいぶ楽になると思います。

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