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日弁連人権擁護大会@旭川に行ってきました

舘山です。
9/29日・30日と北海道旭川市で開催された日弁連人権擁護大会に行ってきました。

人権擁護大会とは?

人権擁護大会、通称「人権大会」は1年に一度、全国のどこかで行われる日弁連最大のイベントです。
第1回は1958年に金沢で行われ、その後は東京を除く全国各地で行われています。
全国に8つある各弁護士会連合会管内(高等裁判所管内と同一)を回っています。

北海道弁護士会連合会→関東弁護士会連合会→中部弁護士会連合会→近畿弁護士会連合会→東北弁護士会連合会→四国弁護士会連合会→九州弁護士会連合会→中国地方弁護士会連合会

・・・の順に行われていて、今回は北海道弁護士会連合会管内の旭川弁護士会が担当会。
日本最北の弁護士会であり、四国より一回り大きく九州より一回り小さいという広大な管轄地域がありながらも、会員数は80名弱という弁護士会とのことでしたが、「旭山動物園顔負けの個性的な面々」(会長挨拶)が獅子奮迅の活躍で、大変素晴らしい人権大会となりました。

私もしばらくは人権大会に参加できておらず、参加した最後の大会が2014年の函館。
8年ぶりの人権大会となりました。

シンポジウム「デジタル社会の光と影」に参加

人権大会では、1日目にシンポジウムが2~3ほどにわかれて開催され、2日目に全体の大会が開催されます。

今回のシンポジウムのテーマは
第1分科会:「高レベル放射性廃棄物問題から考える脱原発」~原発に頼らない、地域社会と日本のエネルギー自立~
第2分科会:「デジタル社会の光と影」~便利さに隠されたプライバシー・民主主義の危機~
でして、今回私は第2分科会の方に参加させていただきました。
デジタル化が進んでとにかく便利になっているこの社会(コロナ禍でさらに進んだような気がします)ですが、そのような便利さの裏には実は深刻な問題があるということで、いろいろ勉強してきました。
デジタルは危険だから時計の針を全て巻き戻せということは、もはやあまりにも非現実的です。
この社会全体の潮流の中で、プライバシーだったり民主主義だったり、そういった軽視されがちな権利・利益がないがしろにされていないか、要所要所で原点に立ち返って考える必要性を感じました。

人権擁護大会に参加

2日目の人権大会は、4つの決議案が審議されました。

高レベル放射性廃棄物の地層処分方針を見直し、将来世代に対し責任を持てる持続可能な社会の実現を求める決議
デジタル社会において人間の自律性と民主主義を守るため、自己情報コントロール権を確保したデジタル社会の制度設計を求める決議
旧優生保護法下において実施された優生手術等に関する全面的な被害回復の措置を求める決議
アイヌ民族の権利の保障を求める決議

当初の2つは前日行われたシンポジウムの紹介と、それに関連した決議案でした。

旧優生保護法問題の決議案については、反対する者がいるはずもなく、全会一致で承認されました。

一方、私が特に感服したのは、アイヌ民族の権利の保障を求める決議に関する意見討論です。
まず、「今のご時世でそういうこと言ったら、少数民族の保護を口実にロシアが攻めてくる可能性があるだろう」という反対意見が出ました。
それに対して、アイヌ民族の問題に実際に関わってきた弁護士たちから、魂の声ともいえるような、熱くて説得的な反対意見が出ました。
考えてみると、当初出た反対意見は、教室でいじめが起きているときに、いじめは良くないと声を上げたら自分もいじめられてしまう可能性があるので見て見ぬふりをしましょう、というようなもので、到底受け入れられるものではありません。
しかしながら、現場で関わってきた弁護士たちの声を聞くことができたのも、このような反対意見が出たからこそ。
ZOOMでもこの模様は配信されていたのですが、会場で熱のこもった生の議論を聞きながら、北海道、旭川でこの決議案を審議すること、その場に立ち会えたことを光栄に思いました。

次回は長野での開催

旭川の会場には、長野県弁護士会の先生方がブースを作っており、次の開催地が長野になったことをアピールしていました。
まだ関弁連管内で人権大会をやっていないのは長野会、山梨会、埼玉会の3会ですが、2023年は長野県内(長野市内)での人権大会になるそうです。
どんな議論がなされるのか、今から楽しみです。
なお、群馬弁護士会は私が入会するちょっと前、1999年に前橋で人権大会を行っています。
関弁連への割当は8年に1度。関弁連管内には東京三会を除いて10の弁護士会があります。
なので、関弁連管内の弁護士会は「80年に一度」人権大会を行うことになるのです。
群馬弁護士会は23年前にやっているので、あと57年は実施しなくてもよいということで
かなり安心しつつも若干寂しい、そんな気持ちです。

ウィズコロナの中、充実した人権大会を設営してくださった旭川弁護士会の皆様、日弁連関係各位、決議に関わってくださった皆様のおかげで素晴らしい大会になったと思います。
長野の先生方も頑張ってください。